活動報告

インタビュー

【過年度事業者インタビュー】令和4年度事業者 NPO法人かわね来風様

 静岡ローカルフードプロジェクト(以下、静岡LFP)にて、形にしていったビジネスについて、ビジネスの実施者にインタビューをし、取り組もうと思った背景や、地域資源や地域課題、また、ローカルフードプロジェクトによって得られたビジネスの価値をお伺いしていきます。
 今回は、令和4年度に「ゆずを使ったクラフトビール」の開発に取り組んだ、NPO法人かわね来風事務局長の浜谷さんです。

 川根本町を中心に、地域の持続可能な発展を目指し活動するNPO法人かわね来風。過疎化や高齢化、農業後継者不足などの地域課題に向き合い、地域住民との協力を大切にしながら、キャンプ場運営や農村観光の推進、高齢者宅配サービスなど、川根本町の暮らしを支える多様な事業を展開しています。川根本町の魅力をどのように伝え、地域振興に結びつけているのか。その想いと取り組みに迫ります。

インタビュー動画はこちらから(約3分)

普段の事業内容と静岡LFP事業を始めたきっかけは?

 かわね来風は町づくりの事業をやっています。町民のサービス向上を目指しているところもありますし、農業者の収益を上げることにも取り組んでいます。高齢化率が高いこともあり、高齢者がこの地域で長く暮らせるためのシステム作りなんかも考えたり、いろんな取り組みがあります。

 年配の方々が幸せに生きていくには収益を上げるための仕組みが必要で、それには若者の移住など若い人たちの力が必要だと思ったんです。それで、若者を呼び込むために、農業を通じて年間働ける環境を整えることが大事だと考えました。
 いろんな作物がある中で、地域のゆず組合の人たちが「これからもし若い移住者が来たら、いろんなことを教えるよ」って言ってくれたことが大きかったんです。他の産業では、「自分の代で終わりにしようかな」っていう考えの人たちもいる中で、ゆず組合の人たちは、次の世代に引き継いでいく気持ちがある。協力してくれる人たちがいるっていうのは、本当に心強いです。

  

静岡LFPで取り組んだビジネスとは?

 時代の流れでクラフトビールが注目されていて、「川根本町ゆずを使ったビールを作ってみたいな」と思ったんです。でも、私たちはビールを作る技術がないので、県内のブリュワリーに協力してもらいながら作りました。クラフトビールはそんなに冷えてなくても、いろんな地元のおつまみと一緒にゆっくり楽しむことができるんです。

 当初は、かわね来風での販売を考えていましたが、「もっと大きくしないと、ゆずの産業として収益に寄与できない」と思い、「株式会社KAWANE SENSE」を立ち上げることにしました。ゆずビールの材料となるゆずを農家から買い取って、ビール会社に提供しています。自社販売の準備としてクラウドファンディングにも取り組み、かわね来風として酒販免許を取得販売することもできました。

 全部初めてだったので最初から道筋が決まってた訳じゃないんです。
最初は飲食だけのつもりでしたが、(観光に来ても)運転手は飲めないし、お土産として持ち帰ってもらうために酒販免許を取ったり、ラベルも最近の海外観光客の増加に合わせてデザインを変えました。今では「このラベルで売りたい」って言ってくれるお店も増えてきて、少しずつ良い方向に向かっていると思います。
 最近では、ビールに使ったゆずの皮以外の実を使用した「ゆずの実スイート」というゆずを甘くしたものをさらに活用して地元のお母さんたちが商品づくりを進めたりもしています。

  

静岡LFPで得られたメリットとやりがい

 いろんな人たちの協力を得られるという所ですね。私たちは工場なんてもちろん持っていないし、自分たちだけではとてもできなかったけど、静岡県内のビール会社や技術を持った方々が協力してくれることで商品開発が実現できました。
 県として静岡全体でPRしてくれることもすごく助かっています。静岡県内でのイベントや産業フェアに出展させてもらったり、オール静岡としていろんなところで広めてもらえるんですよね。

 開発当初は本当に売れるのかなと心配していましたが、運営している三ツ星オートキャンプ場や、農家民宿海外観光客向けツアーの中でよくゆずビールを飲んでいただいていて、目の前で飲んで美味しいって言ってもらえるのは励みになっています。

今後の展望と目指す姿

 地元の人たちが、友達や外から来た人たちに「これはうちの町のビールなんだよ」って胸を張って紹介できる、そういう風になったら嬉しいですよね。かわね来風としてもいろんな所で販売して、美味しいと思って買う人が増えればビール製造会社からたくさん買い取れると思います。
 農家民宿や、キャンプ場に泊まる観光客の方が買って、町内でいろんな食べ物と一緒に楽しんでもらえる機会とか、季節の行事やお祝いのタイミングで家庭で味わってもらえる習慣ができたら、みんなで盛り上げていけると思います。

静岡LFP参画を検討している事業者へのメッセージ

 今まで自分が知らなかった世界が広がって、新しいビジネスのヒントが得られると思いますし、自分では思いつかないことや、持っていない技術をもらえる場所だと思います。
 静岡LFPはいろんなことを考えている人たちが来ているので、私たちのような事業はそこに行って実際に食べてもらうことで、もっと知ってもらう場所にもなると思います。逆に持って行ったものがみなさんのヒントになるかもしれませんし、お互いの気づきになると思います。

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